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法務・コンプライアンス

その投稿、依頼したと分かりますか|ステマ告示違反の措置命令と、AI生成物の表示ルール

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契約書・規程の整備で会社を守る

「うちは、そんな大げさなことはやっていない」

  • 「知り合いに商品を送って、感想を上げてもらっただけです」
  • 「取引先の社長に『よかったら投稿してください』とお願いしただけで、広告のつもりはない」
  • 「販促の画像は生成AIで作りましたが、それを言う必要があるとは思っていませんでした」

法務の相談でよく聞く言葉です。悪意はなく、むしろ善意で商売を広げようとしている。

ただ、問われているのは**「何をしたか」ではなく「受け取った人に、それが誰の言葉として見えるか」**です。止めているのは倫理観ではなく、社内に「表示のルール」が一枚もないことだけです。

消費者庁が8月6日、ステマ告示違反で措置命令を出しました

消費者庁は令和8年8月6日、アプリ「SNOW」の利用サービスを提供する事業者2社に対し、景品表示法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)に該当する違反行為が認められたとして、同法第7条第1項に基づく措置命令を行いました。

SNOW Japanが第三者に対し、対価の提供を条件に、X(SNS)へ同社が指示する方針に沿った投稿を依頼していた。ところが、依頼による投稿であることを明らかにしていなかった。結果として、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示にあたる、と認定されました(出典は記事末尾)。

自社に翻訳します。

  • 広告費を払ったかどうかは関係ありません。対価が動いた依頼投稿は、事業者自身の表示として扱われます。
  • 商品が本当に良くても、依頼だと分からなければ対象になります。内容の真偽とは別の論点です。
  • 対価は現金に限りません。商品の無償提供や割引も、社内では「お礼」でも外から見れば取引です。措置命令は公表され、社名は表に出ます。

よくあるのは、社長や担当者が口頭やチャットで個別に依頼している形です。文面が人により違い、誰に何を渡したかの記録もない。問題は依頼したことではなく、依頼したと分かる形にしていないことです。

AI生成物の「表示」も、EUでは8月2日から義務に

同じ「表示」の話が、AIの側でも動いています。EU AI法(AI Act)第50条の透明性義務が2026年8月2日から適用開始となり、欧州委員会は7月31日、AI Officeと各国当局が8月2日から執行を開始すると公表しました。義務は4つ。AIと直接対話する場合の通知(明白な場合を除く)、提供者による合成音声・画像・動画・テキストへの機械可読なマーキングと検知可能化、感情認識・生体分類システムの利用告知、ディープフェイクおよび公共の関心事に関するAI生成テキストの明示です。

限定を2つ書きます。

これはEUの規則です。 日本国内だけで商売をしている会社に今日から直接かかるわけではありません。関係するのは、EU向けにWebサイト・広告・チャットボットを出していて、自社が「deployer(利用者)」として義務の対象になり得る場合です。まずEU域内に届く自社コンテンツで、AI生成物を使う箇所の洗い出しからです。

猶予も限定つきです。 2026年8月2日より前に市場投入された生成AIシステムについて、マーキング義務に限って2026年12月2日までの猶予があります。すべての義務が12月まで待つわけではありません。制裁金の上限は1,500万ユーロまたは全世界年間売上高の3%のいずれか高い方で、中小企業には比例性が考慮されます。

表示は、隠さないためであると同時に、受け取ってもらうための作法でもあります。

個人情報保護法は2028年施行。今は「猶予をもらった期間」です

期日の誤解も整理します。個人情報保護委員会事務局は令和8年7月31日、令和8年7月17日に公布された改正個人情報保護法について今後の取組を公表しました。「個人情報保護法は、広く一般の事業者に影響を与える法律であることに鑑み、改正法の施行までに十分な期間を確保する」とされ、**ロードマップは施行を2028年(令和10年)に置いています。**一部規定(公示送達のデジタル化)は公布から6か月後に公布・施行です。

改正法には課徴金制度が新設され、顔特徴データ等の周知義務化なども含まれますが、いま直ちに新しい義務が生じるわけではありません。 課徴金と顔特徴データの規律が入る前に、取得時の同意の取り方、委託先との契約、漏えい時の報告体制を点検する猶予期間、と読むのが正しい。慌てて外部サービスを買う段階ではありません。

ルールは「やったこと」ではなく「残したもの」で見られます

表示も個人情報も、最後に効くのは記録です。厚生労働省が2026年8月6日に公表した資料によると、労働基準監督署等が令和7年に自動車運転者を使用する事業場へ行った監督指導(立入調査)は4,123事業場。うち労働基準関係法令違反が認められたのは3,346事業場、**監督指導を受けた事業場の81.2%**にあたります。改善基準告示違反は2,188事業場(53.1%)でした。

全事業場ではなく立入調査を受けた中での割合ですが、8割超は重い。自社便やドライバーを抱える会社は、労働時間の記録方法と割増賃金の計算根拠を、監督署が来る前に点検すべきです。

社長が今週できる3つのこと

1. 「対価が動いた依頼」を全部並べる

過去1年、誰に何を渡して何を投稿してもらったか。現金・商品提供・割引・優先発注を含め、相手・日付・渡したもの・投稿先・表示の有無を一覧にします。過去の依頼投稿が残っていないかも遡って確認を。 消えていない投稿は、今日も表示されています。

2. 依頼文面と表記ルールを1枚に統一する

依頼の文面と、投稿に入れてもらう表記を社内で1つに決めます。担当者が自分の言葉で頼むからばらつく。テンプレートがあれば判断は「使う」だけです。表示は判断ではなく運用の問題。

3. 期日を「自社の期日」に翻訳する

EU AI法は8月2日適用開始、既存システムのマーキング義務は12月2日まで猶予、個人情報保護法は2028年施行。これを他人事の年表ではなく、自社が何をいつまでに終えるかの予定表に置き換えます。EU向けの配信がないなら「対象外」と書いて閉じる。それも記録に残る判断です。

Before / After

Before: 販促の依頼は個別に口頭でお願いし、文面も表記もその都度。生成AIで作った画像がどの広告に使われたか誰も把握していない。法改正のニュースを見るたび不安になるが、何を確認すべきか分からないまま次の週が来る。

After: 依頼のテンプレートと表記ルールが1枚にまとまり、誰が頼んでも同じ形になる。対価を渡した依頼は一覧に残り、過去分も点検済み。法改正は自社の予定表に落ち、「今やること」と「2028年までにやること」が分かれています。

よくある失敗と、避け方

  • 「広告費を払っていないから広告ではない」と考える → 対価は現金に限りません。商品提供や割引も含めて棚卸しを。問われたのは依頼だと分かるかです。
  • 表示ルールを担当者の判断に委ねる → 必ずばらつきます。テンプレートを配り、判断ではなく作業にする。
  • EUのルールを「うちも今すぐ対応が必要」と読む → 第50条はEUの規則です。対象外なら対象外と記録して閉じる。
  • 2028年施行だから何もしなくていい、と読む → 施行までは同意・委託先契約・報告体制を点検する時間です。直前では契約の巻き直しが間に合いません。

こんな社長に向いています

  • インフルエンサーや取引先に商品を渡し、SNSでの投稿をお願いしたことがある
  • 販促の画像や文章を生成AIで作っているが、社内に表示のルールがない
  • 顧客名簿や応募者データを預かっているが、取得時の同意文面を数年見直していない
  • 自社便やドライバーを抱え、労働時間の記録方法に自信が持てない
  • 法改正のニュースは目に入るが、自社が何をいつまでにやるかに変換できていない

ひとつでも当てはまるなら、いま必要なのは新しいシステムではなく、表示と記録のルールを1枚にまとめることです。

AI CAOが伴走します

AI CAOは、法務・コンプライアンス・契約・社内規程を担当する経営メンバーです。表示や記録のルールづくりは、法律の知識よりも「自社の実務に合わせて言い換える作業」の比重が大きく、そこで手が止まる会社がほとんどです。

対価が動いた依頼の洗い出し、依頼文面と表記ルールの雛形、AI生成物の利用記録の様式、個人情報の取得・委託・報告体制の点検リスト、法改正を自社の予定表への翻訳に伴走します。措置命令も監督指導も、直す内容そのものは難しくない。難しいのは、来る前に手をつけることだけです。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。

参考・出典

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