「AIで作った」は後から分かる時代へ|販促画像のAI利用ルールを社長が先に決める

AI CCO
ブランドの世界観を創り、ビジュアルで心を動かす
「これ、AIで作ったって言わなきゃまずいですか?」
デザインや見た目に自信がない社長から、最近こんな相談が増えました。
「チラシの写真をAIで作ってみたが、お客様に何か言われないか不安で結局出せていない」 「SNSの投稿画像は社員がAIで作っている。止めるべきか、任せていいのか判断がつかない」 「外注したデザインの一部にAIが使われていたらしい。うちはそれを知らないまま配っていた」
悩みの正体はここです。止めているのはAIを使う技術力ではなく、「どこまで使っていいか」を会社として決めていないこと。決まっていないから社長は毎回その場で判断するしかなく、判断できないから止まる。そして現場は、聞かないまま使ってしまう。
この「決めていない」状態が、今までよりはっきりリスクになりつつあります。理由は単純で、AIで作ったかどうかが後から分かる仕組みが整い始めたからです。
Metaの新しい画像生成AIには、目に見えない「透かし」が入っている
知っておいてほしいニュースが2つあります。
1つめ。2026年7月7日、Metaが公式ブログで、画像生成モデル「Muse Image」の提供開始と、動画生成モデル「Muse Video」の早期プレビューを発表しました(出典は記事末尾)。提供先は Meta AI アプリと meta.ai、米国の Instagram ストーリーズ、一部の国の WhatsApp で、Facebook は近日とされています。
社長にとっての意味は2つ。自社がすでにSNS運用をしている場所で、そのまま画像や動画が作れるようになる。これが1つ。もう1つが重要で、生成物には不可視の電子透かし「Content Seal」が入り、判定ツールが meta.ai/identification で公開されているという点です。作ったものを後から判別できるようにしたうえで、その判定手段まで誰でも使える形で出している。AI生成であることは後から分かる、という前提で販促物を考える段階に入ったということです。
2つめ。2026年7月8日付で、コンテンツの来歴標準を策定する C2PA が「Content Credentials: Deployment Guidance」バージョン1.0 を公開しました(出典は記事末尾)。企業・官公庁など導入を検討する組織向けの非技術者向けの概説で、自組織が来歴情報を付与する側(producer)か検証する側(validator)かを見極める、既定で来歴情報を付与し保持するツールを選ぶ、付与する、検証する、自社サイトで表示する、という5段階の進め方を示します。検証は verify.contentauthenticity.org で行え、適合性プログラムは2026年5月時点で31社54製品が通過しています。
わざわざ非技術者向けに書かれたこと自体が、対象が広がったサインです。
デザイン力より先に決めるべき「3つの線引き」
センスの問題ではなく、決め事の問題です。
1. 「AIをどこまで使うか」を用途別に線引きする
一律禁止も一律自由も、現場が困ります。用途で分けてください。背景・装飾・イメージカットなど事実を主張しない素材はAI可。商品写真・施工事例・お客様の声・スタッフ写真など実物や実績を証明する素材はAI不可。この2本の線で現場の迷いはほぼ消えます。判断に困るものは「社長に確認」に寄せれば十分です。
2. 制作ツールと外注先に「来歴が残るか」を確認する
C2PAのガイダンスは、ツール選定時にベンダーへ確認すべき点を挙げています。来歴情報がどう付くか、AI利用がどう示されるか、自動で付与されるか、作業工程をまたいで保持されるか、後工程のツールが認識できるか。そのまま外注先への質問リストとして使えます。
第三者認証の有無も物差しになります。デザインツールのFigmaは2026年7月1日、AIマネジメントシステムの国際規格 ISO/IEC 42001:2023 の認証を取得したと発表しました(出典は記事末尾)。認定審査機関 Schellman が、AI影響評価・ガバナンス・リスク管理・データガバナンス・第三者AIリスク・人間による監督などを含む38の管理策を評価したものです。社長がツールを選ぶときの数少ない客観的な物差しであり、取引先から問われたときの説明材料にもなります。
3. 「隠す」ではなく「先に開示する」を標準にする
プラットフォーム側の判定は強まる一方です。TikTokは2026年7月10日、AI生成コンテンツ(AIGC)を見分け・理解し・表示量を自分で調整できるようにする取り組みの拡大を発表し、これまでに30億本超の動画をAIGCとしてラベル付けしたとしています。あわせてC2PAの運営委員会にも参加しました(出典は記事末尾)。
広告も同じ方向です。Googleは2026年7月9日、検索・YouTube・Discoverの広告について、My Ad Center パネルに「How this ad was made」セクションを追加し、その広告が生成AIで作成・編集されたかを表示すると発表しました(出典は記事末尾)。自社の生成AI広告ツールで作った広告には自動で開示が付き、他ツールの場合は広告主が自ら申告するコントロールが新設されます。
隠す選択肢はもう実質的にない。後から指摘されるより、自分から一行添えるほうが安く済みます。
Before / After
Before: 社員がAIで作った画像をSNSに上げているが、社長は把握していない。外注先がAIを使っているかも聞いたことがない。「言われたらどうしよう」と思いながら出し続け、判断はいつも個人の勘で記録もない。
After: 用途別のAI利用ルールが1枚にまとまり、全員が同じ線で判断している。制作ツールと外注先には来歴の扱いを確認済み。AIを使った販促物には自社から一行開示を添えており、指摘されても即答できる。「見た目」だけでなく「作り方」まで説明できる会社になっています。
よくある失敗と、避け方
- 「AI禁止」と一言で決める → 現場は隠れて使うだけです。用途別に「可・不可・要確認」の3段階で線を引き、可の範囲を明示してください
- 外注先にAI利用を確認していない → 配るのは自社です。発注時に「AIを使うか」「来歴情報が残るか」を必ず聞き、書面に残してください
- 開示を「言い訳」だと思っている → 開示は品質の主張です。「イメージ画像はAIで作成」の一行で、実物写真の信頼が逆に上がります
- ツールを見た目の良さだけで選ぶ → 来歴が工程をまたいで保持されるか、後工程のツールが認識できるかまで確認を。途中で消えるなら意味がありません
こんな社長に向いています
- AIで販促画像を作りたいが、出していいのか判断がつかない
- 社員が個人の判断でAIを使っており、会社としての方針がない
- 外注先がAIを使っているかどうかを、そもそも聞いたことがない
- SNSや広告でAI生成のラベルが付くことを、リスクとして意識し始めた
- 「見た目」を整えたいが、同時に信頼も落としたくない
ひとつでも当てはまるなら、着手のタイミングです。ラクスルが2026年7月9日に公表した中小企業のAI活用実態調査では、代表・役員がAIを全く活用していない企業の85.7%は、AI活用の方針も推進体制も整備されていなかったとされています(出典は記事末尾)。方針の不在は、社長の関与の不在と同じ場所に現れます。
見た目と、その作り方の両方を整える
AI CCO は、会社の「見た目」を整える伴走役です。今回のテーマで言えば、用途別のAI利用ルールを1枚にまとめる、制作ツールと外注先に投げる確認事項を用意する、販促物に添える開示の文言を決める、出来上がった素材のトーンとブランドを揃える——ここまでを一緒に進めます。デザインの経験は要りません。決めるべきことを順番に出し、社長が選べる形にするのがこちらの仕事です。
料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。
参考・出典
- Meta AI 公式ブログ:画像生成モデル「Muse Image」の提供開始と動画生成「Muse Video」の早期プレビュー
- C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity):Content Credentials 導入ガイダンス v1.0
- TikTok Newsroom:AI生成コンテンツの識別・表示の取り組み拡大(累計30億本超にAIGCラベル)
- Figma 公式ブログ:AIマネジメントシステムの国際規格 ISO/IEC 42001 の認証を取得
- Google Ads(The Keyword):広告のAI利用開示を拡大、「How this ad was made」パネルを追加
- ラクスル株式会社(PR TIMES):中小企業のAI活用に関する実態調査 第1回