デザイン業の倒産が上半期40件で14年ぶりの高水準|外注先が止まる前に引き直す「内製と外注」の線

AI CCO
ブランドの世界観を創り、ビジュアルで心を動かす
「デザインのことは、いつもの制作会社さんに任せきりで」
- 「チラシもパンフレットも10年来の会社にお願いしている。中身は分からないが、頼めば出てくるので困っていない」
- 「見積もりが妥当なのか判断できない。安いのか高いのかも分からない」
- 「ロゴの元データですか。たぶん先方が持っていると思います」
デザインや見た目に自信のない社長から、よく伺う話です。任せきりでも回っているうちは、これで何も問題は起きません。困るのは、任せきりにしていた相手のほうが先に止まったときです。
止めているのはデザインの才能ではありません。**何を誰に頼み、その結果として何が自社に残るのかという「発注の設計」**です。ここが決まっていない会社は、外注先が続いている限り快適で、外注先が止まった瞬間に一枚のチラシも動かせなくなります。そしていま、その「外注先が止まる」側の数字が出ました。
「デザイン業」の倒産が2026年上半期40件、14年ぶりの高水準に
東京商工リサーチ(TSR)は2026年8月2日、2026年上半期(1-6月)の「デザイン業」の倒産が40件(前年同期比166.6%増)となり、2012年同期の45件以来、14年ぶりに40件を超えたと発表しました。倒産した企業は従業員5人未満が36件で、全体の9割を占めます。このペースなら年間で2011年の80件を超える可能性があるとしています。(出典は記事末尾)
社長に読んでいただきたいのは、TSRが倒産を3つのパターンに分けている点です。
- 顧客がデザインを内製化したことによる受注不振(生成AIの普及で、デザイン関連業務の短時間・低コスト化が可能になった)
- 雑誌など紙媒体を主力とする企業の、デジタルシフトによる受注不振
- ハウスメーカーの倒産の影響を受けたインテリアデザイン企業
1つめは他人事ではありません。発注する側の内製化が、受注する側の廃業として表に出てきているという話だからです。自社が内製に踏み切らなくても、同じ制作会社に発注している他社が内製化すれば、その会社の売上は細ります。倒産の9割は従業員5人未満、中小企業がよく付き合う規模です。
ここで社長が最初にやることは、内製化の検討ではありません。取引中の制作会社について、ソースデータの受領方法と支払条件を確認することです。制作物のデータや権利が宙に浮くリスクが、現実に高まっています。
ChatGPTの中からPhotoshopやIllustratorを呼べるようになった(ChatGPT WorkとCodexで提供)
もう一つ、同じ週の動きです。Adobeは2026年8月6日、ChatGPT向けの統合プラグイン「Adobe plugin in ChatGPT」を発表しました。Photoshop、Illustrator、Adobe Express、Firefly、Premiere、Acrobat、Adobe Stockなど70を超えるツールを1つのプラグインに統合したもので、ChatGPT WorkとCodexで利用できると説明されています。ChatGPTのPluginsからAdobeを追加し、チャットの中で「@Adobe」と入力して使う形です。ゲストのままでも幅広いツールを利用でき、Adobeアカウントでサインインすると、生成機能・Creative Cloudファイルへのアクセス・作業内容の保存が解放されます。AdobeはChatGPT・Claude・Copilotへの展開に続き、SlackとGeminiへの対応も予定しています。(出典は記事末尾)
大事なのは限定条件です。使えるのはChatGPT WorkとCodex。いま社内で使っているChatGPTのプランでそのまま動くとは限りません。「明日から誰でも使える」ではなく、「自社の契約で使えるかを確認してから」が正しい順番です。
同じ週、xAIは2026年8月7日に画像生成・編集モデル「Imagine Image 2.0」の一般提供を開始しました。grok.com/imagineおよびiOS・Androidアプリで、新しい「Quality Mode」として利用できます。xAIは「実務で使える画像」を目標に開発したとし、デザイナーのようにタイポグラフィとレイアウトを設計する能力や、情報量の多い複合ビジュアルでも小さな文字が鮮明に出る点を挙げています。(出典は記事末尾)
チラシ・POP・SNSバナーのように文字が主役の制作物では、生成AIは長く「文字が崩れる」という弱点を抱えてきました。そこにxAIが正面から手を入れた、というのがこの数日の意味です。
社長がいま決める、3つのこと
1. 取引中の制作会社に、2つだけ確認する
聞くのは2点です。ロゴ・チラシ・パンフレットのソースデータ(編集できる元データ)をどう受け取れるか。そして支払条件です。相手を疑う話ではありません。元データが自社にあるかどうかが、そのまま事業継続の条件になります。長い付き合いの相手ほど「今さら聞けない」と後回しになりますが、これは相手が健全なうちにしか聞けない質問です。
2. 「内製に回せる仕事」を、実物1点で見極める
線引きは会議では決まりません。実物で決まります。まずゲスト利用でかまわないので、次回配るチラシでも店頭のPOPでも、自社の販促物を1点だけ試作してください。そのうえで、外注すべき仕事と社内で回せる仕事の線を、出てきた実物を見て引き直します。
試すときは、自社の商品名・価格・電話番号を実際に入れてください。文字が主役の制作物は、そこが崩れれば使えません。逆に、そこさえ通れば内製に回せる仕事はあります。
3. 「どこまで人が関与したか」を残す前提で発注する
C2PAは2026年7月31日、白書「Use of Content Credentials to Identify Synthetic and Non-Synthetic Content」を公開しました。改ざん検知が可能な暗号署名付きのマニフェストに、AI生成物・AI加工物・非合成コンテンツをどう記録するかを整理したものです。要点は5つで、IPTC語彙に基づく機械可読な分類、モデル来歴と人間の関与度を記録する新アサーション「c2pa.ai-disclosure」、AI加工箇所の範囲指定、生成レシピの記録、作成・編集の標準語彙です。(出典は記事末尾)
読み取れるのは、標準の方向が「AIを使ったか否か」の二択ではなくなったということです。どのモデルで、どこを、どれだけ人が関与して作ったかを記録する方向に進んでいます。C2PAが2026年7月8日付で公開した導入ガイダンス v1.0も、ツール選定で確認すべき事項の一つに「AI利用がどう示されるか」を挙げ、ベンダーに確認するよう求めています。社長が発注時に加える確認項目は一つで足ります。納品物にどんな来歴情報が付くのか。ここを聞いておけば、後から遡る手間がなくなります。
Before / After
Before: 制作はすべて外注任せ。元データの所在が分からず、見積もりの妥当性も判断できない。外注先が止まったら次のチラシ1枚も出せない。何を内製に回せるのかも、判断がつかないまま止まっている。
After: 主要な外注先について、ソースデータの受領方法と支払条件が確認済み。自社の商品名と価格を入れた試作を1点作り、「型が決まった販促物は社内、ブランドの根幹に関わる制作は外注」という線が引けている。発注時の確認項目に来歴情報が入り、外注先とは頼む仕事を絞ったうえで関係が続いている。
よくある失敗と、避け方
- 「ChatGPTでAdobeのツールが使えるらしい」と社内に通達してしまう → 利用できるのはChatGPT WorkとCodexです。自社の契約プランで使えるかを確認してから展開してください
- 内製化を決めて、外注先との関係を一方的に切る → TSRが挙げた1つめのパターンそのものです。切るのではなく頼む仕事を絞る。ソースデータの受領と支払条件を先に整えるのが順番です
- 試作を「なんとなく良さそう」で評価する → 自社の商品名・価格・電話番号を入れた実物で判断してください。文字が正しく出るかは、実物でしか分かりません
- AI利用の記録を後回しにする → 標準は「どこを誰がどれだけ関与したか」を記録する方向に進んでいます。納品後に遡るより、発注時の確認項目に入れるほうが早い
こんな社長に向いています
- 制作物を長年同じ外注先に任せきりで、元データの所在を答えられない
- 見積もりが妥当かどうか判断できず、言い値で発注している
- AIで販促物を作れると聞くが、何を内製に回せるのか線が引けていない
- チラシやPOPなど、文字が主役の制作物を毎月のように出している
- 制作物のAI利用をどう扱えばいいのか決めておらず、外に出す判断で止まる
ひとつでも当てはまるなら、いま整えるべきはデザインの巧拙ではなく、発注の設計です。
AI CCOがやること
AI CCOは、御社のクリエイティブとブランドの伴走役です。まず主要な外注先について、ソースデータと支払条件の確認事項を一緒に整理します。そのうえで自社の販促物を1点試作し、社内で回せる仕事と外に頼むべき仕事の線を実物で引き直します。発注時の来歴情報の確認項目まで含めて、社長が「これは社内、これは外」と即答できる状態を作ります。
料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。