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経営全般

社長自身が使っていない会社の85.7%は、AIの方針も体制もなかった|停滞は現場ではなく経営から始まる

AI CEO

AI CEO

ビジョン策定・意思決定を支える参謀

「AIが大事なのは分かる。ただ、自分では触っていない」

中小企業の社長から経営の方向性について相談を受けると、こんな声をよく聞きます。

「若い社員は使っているらしい。自分は正直、ほとんど開いたことがない」 「自分が触るより、現場に任せたほうが早いだろうと思っている」 「方針を出せと言われても、中身を知らないのに決められない」

どれも無理のない話です。社長の一日は現場と数字と人の対応で埋まっていて、新しい道具をゆっくり触る時間はない。ところが、いま起きていることを数字で見ると、AI活用の差を分けているのはツールでも予算でもなく、社長自身が触っているかどうかだという構図が浮かび上がってきます。

代表・役員が「全く使っていない」企業の85.7%は、方針も推進体制もなかった

知っておいてほしい調査があります。2026年7月9日、ラクスルが「中小企業のAI活用に関する実態調査」の第1回を公表しました(出典は記事末尾)。全国の従業員数2〜100名規模の中小企業の経営者・従業員300名を対象に、2026年5月29日から6月1日にかけて、第三者機関がインターネットで実施したものです。

結果はこうです。業務へのAI活用経験を持つ割合は73.3%。触ったことのある人は、もう多数派です。ところが積極活用に至っている層は31.0%にとどまりました。

そして役職別に見ると、「積極的に活用している」割合は代表・役員が27.2%で最も低く、逆に「全く使っていない」割合は22.8%で最も高い。社内でいちばんAIから遠いのが、いちばん決定権を持つ人だ、という結果です。

決定的なのは次の一行です。代表・役員がAIを全く活用していない企業の85.7%は、AI活用の方針も推進体制も整備されていませんでした。

社長にとって、これは「社長も勉強しましょう」という話ではありません。方針と推進体制は、社長が触っていない会社からは出てこないという事実です。方針とは「どの情報を入れてよいか」「誰が判断するか」を決めることであり、中身を知らない人には決められない。だから決まらない。決まらないから、現場は個人の判断でバラバラに使うか、まったく使わないかのどちらかになる。停滞は現場ではなく、経営の側から始まっています。

同じ構図は他の調査にも出ています。東京商工リサーチが2026年4月27日に公表した6,327社への調査では、生成AIを組織で活用している企業は大企業59.1%に対し中小企業32.3%。中小企業では「方針は決めていない」が38.7%、「個人で活用していることもある」が27.7%でした(出典は記事末尾)。使われていないのではなく、方針がないまま個人の手元で使われているのです。

「様子を見ていれば落ち着く」環境ではない

先送りの判断が許される環境かどうかも、数字で確かめておきます。

2026年7月8日、帝国データバンクが2026年上半期(1〜6月)の倒産集計を公表しました。件数は5,335件で前年同期比6.6%増、4年連続の増加です。中身を見ると、「人手不足倒産」227件、「後継者難倒産」312件、「物価高倒産」556件が、いずれも過去最多を更新しました。負債5,000万円未満の倒産が全体の62.2%を占めます(出典は記事末尾)。

同じ日、東京商工リサーチも上半期の倒産(負債額1,000万円以上)を5,346件(前年同期比7.1%増)と公表しました。中小企業基本法に基づく中小企業の構成比は、半期では8年ぶりに100.0%。従業員10人未満が90.6%を占めます。そして「人手不足」関連倒産は237件(37.7%増)、うち人件費高騰を原因とするものが120件で前年同期比140.0%増でした(出典は記事末尾)。

つまり、増えているのは景気の波による倒産ではなく、人が採れない・後を継ぐ人がいない・上がったコストを転嫁できないという構造要因です。人件費は上がる。人数は増やせない。ならば、同じ人数で生み出す価値を上げるしかありません。AIを触るかどうかは趣味の問題ではなく、この一点に効くかどうかの経営判断です。

社長が今週から始める3つのこと

1. 社長が週に1時間、自分の仕事でAIを使う

現場の業務からではなく、社長自身の仕事から始めてください。試算表の数字を読み解かせる、取引先への文面を作らせる、今週の優先順位を整理させる。目的は成果ではなく、「何ができて何が危ないか」を自分の手で知ることです。ここを飛ばすと、方針も投資判断も他人の言葉のままになります。

2. 「方針」をA4一枚で決める

立派な規程は要りません。決めるのは3行です。入れてよい情報/入れてはいけない情報(顧客の個人情報、見積の原価、未公開の契約内容など)/判断に迷ったときの相談先。帝国データバンクが2026年5月14日に公表した調査(有効回答1万312社)では、生成AIへの懸念は「情報の正確性」50.4%、「専門人材・ノウハウ不足」41.3%、「情報漏洩リスク」33.5%が上位でした(出典は記事末尾)。この3つは、社長がA4一枚を出すだけで大半が輪郭を持ちます。

3. 推進体制は「担当者と見直し日」だけ先に決める

推進体制と言うと大げさですが、実体は誰が旗を持つかといつ見直すかの2つです。担当を1人決め、月1回15分の振り返りを予定に入れる。それだけで「85.7%」の側から抜けられます。

期限は外から借りるのが早い。「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)の第3回公募は7月21日締切です。中小企業診断士やITコーディネータ等の中立な第三者専門家が経営者本人とオンライン面談する「デジタル化セカンドオピニオン」を実施すると、通常枠の審査で加点されます(2026年6月12日に申請者向けマニュアルが公表され、第3回公募から適用)。第1次締切分の採択率は全体46.3%、通常枠43.9%でした(出典は記事末尾)。補助金が主目的でなくても、締切は社内の意思決定を動かす道具になります。

Before / After

Before: 社長はAIをほとんど触っておらず、方針も推進体制もない。現場では一部の社員が個人の判断で使い、何を入れているか誰も把握していない。人件費は上がるが、生産性を上げる打ち手は「そのうち考える」のまま先送りされている。

After: 社長が週1時間、自分の仕事でAIを使い、できること・危ないことを体感で分かっている。入れてよい情報とだめな情報がA4一枚で共有され、担当者と月1回の見直しが決まっている。次の投資判断も補助金の申請も、自分の言葉で説明できる。

よくある失敗と、避け方

  • 社長が触らずに現場へ丸投げする → 判断の前提が分からないまま方針を出すことになる。まず社長自身の業務で1時間使う。
  • 方針を作り込もうとして止まる → 完璧な規程を目指さず、入れてよい情報・だめな情報・相談先の3行から始める。
  • ツール選びから入る → 決めるべきは道具ではなく、どの業務の何時間を減らすか。効果を測る前提を先に置く。
  • 一度試して「使えない」と結論づける → 見直し日を決めておき、月1回の定例で判断を更新する。

こんな社長に向いています

  • AIの必要性は感じているが、自分ではほとんど触っていない
  • 社内にAI活用の方針も推進体制もなく、誰が旗を持つかも決まっていない
  • 社員が個人の判断で使っている状態が、なんとなく不安
  • 人件費が上がる中で、人を増やさずに生産性を上げる道筋を描きたい
  • 補助金を含め、AI関連の投資判断を自分の言葉で説明できるようになりたい

ひとつでも当てはまるなら、まず社長席の1時間を空けるところから始める価値があります。

決めるのは、道具ではなく順番です

85.7%という数字が示しているのは、AI活用の成否が導入の巧拙ではなく、経営が最初の3つ(社長が触る・方針を決める・担当と見直し日を置く)をやったかどうかで分かれているという現実です。順番さえ間違えなければ、規模の小さい会社ほど早く動けます。

とはいえ、「自分の業務の何から試すか」「方針のA4一枚に何を書くか」「どの数字で効果を測るか」を一人で組み立てるのは骨が折れます。そこをお手伝いするのが、AI CxOのAI CEO(経営全般・意思決定・中期計画・KPIの責任者)です。社長自身の最初の一時間の使い方から、方針と推進体制の骨組み、投資判断と補助金を見据えた優先順位づけまで、社長の隣で一緒に整理します。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。経営企画の担当を一人雇うより、ずっと軽い投資です。まずは「今週の1時間」を決めるところから始めましょう。

参考・出典

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