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辞めた一人が会社を止める|1-7月で83件の「従業員退職型」倒産と、社長が先に決めること

AI CEO

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ビジョン策定・意思決定を支える参謀

「あの人が辞めたら、うちは終わる」

経営相談の場で、この夏に続けて聞いた声です。

「求人は出しています。ただ、本当に怖いのは採れないことより、今いる二人が辞めることです」

「ベテランが一人抜けた月、見積もりが出せなくなって、受注が数件飛びました」

「値上げのお願いはしています。でも通った分では、賃上げまで届かない」

三つとも別々の社長の言葉ですが、中身は同じ構造です。**採用の失敗ではなく、一人に業務がぶら下がったまま何年も来てしまったこと。**そして、その一人を引き止める昇給の原資が、値決めの場で作れていないこと。

止めているのは「人気のない会社だから」ではありません。「誰が抜けたら、どの仕事が止まるのか」を社長自身が紙に書き出したことがない、という一点です。書いていないものは、計画にもKPIにも乗りません。乗らないものは、抜けた日に初めて発覚します。

「従業員退職型」の倒産が1-7月で83件、5年連続で増えている

帝国データバンクが2026年8月7日に公表した分析によると、人手不足倒産のうち、従業員や経営幹部などの退職が直接的・間接的な要因となった「従業員退職型」の倒産は、2026年1-7月に83件判明しました。前年同期の74件から9件、約12.2%の増加です。2022年以降5年連続で増えており、このペースなら、初めて年100件を超えた前年(124件)を大幅に上回り、単年で過去最多の更新が確実とされています。集計の対象は負債1,000万円以上・法的整理による倒産で、集計期間は2013年1月から2026年7月31日までです。

業種別では「サービス業」が22件で最多、全体の26.5%を占めます。「建設業」20件は1-7月として初めて20件台に乗り、「運輸・通信業」12件(前年同期8件)は1-7月として初めて10件を超えました。コスト上昇分を価格転嫁できず、賃上げ原資を確保できないケースが目立つとされています。

同じ方向の数字が、別の調査からも出ています。東京商工リサーチが2026年8月5日に公表した集計では、2026年7月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち「人手不足」関連倒産は63件で、前年同月比40.0%増、7月としては過去最多でした。要因別では「人件費高騰」が36件(前年同月比111.7%増、2.1倍)で過去最多、「従業員退職」が19件(同72.7%増)。資本金1千万円未満が40件(同90.4%増)と全体の63.4%を占めました。(出典は記事末尾)

読み取るべきは二つです。ひとつは、倒産の引き金が「採れない」から「今いる人が抜ける」「上げた人件費を払いきれない」へ移っていること。もうひとつは、影響が資本金1千万円未満の層に集中していることです。大企業の話ではありません。

社長が先に決める三つのこと

一、「今月、誰が抜けたら止まるか」を名指しで書く

最初にやるのはツール選びでも採用広告でもありません。紙を一枚出して業務を10から15に分け、担当者名を書きます。そして、**担当者が一人しかいない業務に丸をつける。**丸の数が、今の会社の脆さです。

決めるのは三つだけです。誰が二人目になるか。手順書はどこにあるか。二人目が立ち上がるまで何日かかるか。答えられない業務が、退職を倒産に変える経路です。中期計画のKPIに、売上や粗利と並べて「単独依存業務の数」を置いてください。前期比で減っていれば、その年の経営はうまくいっています。

二、賃上げの原資は、価格転嫁の交渉から取りにいく

退職を止めるには待遇を上げるしかない、という結論は正しい。ただし順番が逆になりがちです。原資の当てなく昇給を決めれば、翌年の資金繰りで折れます。

中小企業庁が2026年6月26日に公表した価格交渉促進月間(2026年3月)のフォローアップ調査では、受注側中小企業30万社にアンケートを行い、69,625社から回答を得ています。価格転嫁率は前回から約1ポイント増の54.2%。コスト要素別では原材料費55.7%、エネルギーコスト48.9%に対し、**労務費は50.0%**でした。人件費の上昇分は、半分しか価格に乗っていないということです。

2026年8月4日、中小企業庁は同調査の結果(2)として「発注者リスト」を更新公表しました。10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業557社と、92の国の機関・地方公共団体について、回答企業数と価格交渉・価格転嫁・支払条件の回答状況を点数化し、平均値に従って4区分に分類したものです。自社の主要取引先がどの区分かを実名で確認できます。ただしこのリストは、各発注者のすべての状況を網羅的に整理したものではないとされています。区分だけで相手を断じる材料ではなく、交渉に持ち込む公表事実として使ってください。

自社が発注側でもあるなら、次回調査で名前が挙がる側になり得ます。両方の立場で確認するのが社長の仕事です。

三、属人業務を「手順」に落とし、任せられる形にする

丸をつけた業務を二人目に渡すには、頭の中の手順を外に出す必要があります。ここが従来もっとも進まなかった工程で、理由は「マニュアルを書く時間がない」からでした。

その敷居は下がってきています。カミナシは2026年8月4日、「カミナシ 教育」のAIマニュアル作成機能が音声入力とテキスト入力に対応したと発表しました。現場での口頭説明やメモ書きを、AIがステップ形式のマニュアルに自動変換するものです。先行導入先では、従来半日かかっていた作成が1時間程度に短縮した例が示されています。対象プランや追加費用の明記はなく、料金は月額課金制で具体的な価格は公表されていないため、自社で使えるかは見積もりを取って判断してください。

大事なのは製品名ではなく**「口で説明できることは、もう書き起こせる」**という前提の変化です。引き継ぎのために何日も空けてもらわなくても、いつもの説明を録っておけば手順の初稿はできます。

Before / After

Before: 業務の担当は暗黙のうちに決まり、手順は本人の頭の中にある。社長は「あの人が辞めたら困る」と分かっているが、困り方の中身は言語化されていない。引き継ぎは退職まで残り2週間で始まり、間に合わない分は社長が引き取る。賃上げは決算を見てから検討し、値上げ交渉は「言いにくいから」と先送りになる。

After: 業務一覧に担当者と二人目が書かれ、単独依存の業務数が毎月の経営会議に載っている。手順書は完璧ではないが初稿がある。退職の申し出が来ても、止まるのは数日で済む。価格交渉は転嫁率や発注者リストという公表事実を材料に、感情ではなく数字で進む。賃上げは原資が作れた分から決まる。

よくある失敗と、避け方

  • 辞めそうな人の引き止めに全力を注ぎ、設計を後回しにする → 引き止めは必要ですが、成功しても構造は変わりません。定着策と「抜けても止まらない設計」は同じ月に並行で始める
  • 原資の当てがないまま昇給を先に決める → 価格転嫁の交渉と省力化を先に着手し、通った分・浮いた分から配る順番にする。労務費の転嫁率が50.0%である以上、交渉なしに原資は生まれない
  • マニュアルを作ったところで満足する → 作成本数ではなく「その手順で二人目が実際に回した回数」で測る。使われていない手順書は、無いのと同じ
  • AI導入を「速くなった」で終わらせる → ラクスルが2026年7月23日に公表した調査(従業員2〜100名の中小企業の経営者・従業員300名対象)では、AI活用で生産性・業務効率が向上した層のうち54.9%が「日常業務が速くなった」と回答した一方、「特定の業務を任せられるようになった」は4.3%、「業務フロー全体が変わった」は1.9%にとどまりました。速さではなく「任せられたか」を判定基準にする

こんな社長に向いています

  • 一人が抜けたら止まる業務が、社内に思い当たる
  • 求人を出しているが、それ以上に既存社員の退職が怖い
  • 賃上げの必要性は分かっているが、原資の作り方が決まっていない
  • 主要取引先との価格交渉を、何を材料に切り出すか迷っている
  • 業務の手順が社長と一部社員の頭の中にしかない

ひとつでも当てはまるなら、着手する順番を決めるところから始める価値があります。

AI CEOは、この順番づくりに伴走します。業務の棚卸しと単独依存業務の洗い出し、中期計画とKPIへの落とし込み、価格交渉に持ち込む材料の整理、手順化を「どの業務から」始めるかの判断まで、社長の壁打ち相手として毎週の意思決定に付き合います。決めるのは社長ですが、決めるために並べる材料と順番は、こちらで用意します。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。

参考・出典

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