正社員が足りない企業は51.3%、非正社員は28.8%|「採って埋める」をやめ、仕事の任せ方から組み直す

AI CEO
ビジョン策定・意思決定を支える参謀
「募集は出しているんです。でも、任せられる人が来ない」
経営のご相談で人の話は必ず出ます。ただ、その中身がこの一年で変わりました。
- 「求人も出すし応募もある。でも、任せたい仕事を任せられる人が来ない」
- 「パートさんの採用は去年より楽になった。苦しいのは社員のほうです」
- 「一人辞めたら、その仕事が全部わたしに戻ってきた。新しいことが止まった」
三つとも「人手が足りない」と語られますが、足りていないのは頭数ではありません。足りていないのは、任せられる人と、任せられる形になっている仕事です。
募集、時給、媒体。この三つは頭数の不足には効きますが、社長の頭の中にしか手順がない仕事には効きません。その状態で人を増やせば教える時間が増え、社長はますます現場から抜けられません。人を採ってから任せ方を考えるのではなく、先に仕事を任せられる形へ作り直す。
正社員が足りない企業は51.3%、非正社員は28.8%(出典は記事末尾)
2026年8月17日、帝国データバンクが「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」を公表しました。全国2万2,350社を対象に7月17日から31日にインターネットで実施し、有効回答企業数は1万518社(回答率47.1%)です。
- 2026年7月時点で正社員の不足を感じている企業は51.3%。前年同月(2025年7月)の50.8%から0.5ポイント上昇し、7月としては4年連続で50%を超えた
- 非正社員の不足は28.8%。2025年4月以降は3割を下回り、正社員に比べて改善傾向
- 業種別の正社員不足は「金融」67.1%がトップ、「建設」66.0%、「運輸・倉庫」65.6%と続き、6業種で6割を超えた
注目すべきは51.3%という水準よりも、非正社員は改善しているのに正社員だけが高止まりしているという形です。手順が決まっていて教えれば回る仕事は採用でなんとかなり始めた一方、判断が要る・責任が伴う仕事は募集をかけても埋まらない。困るのは後者です。
後者は、採用で埋めるより仕事の側を作り直したほうが早い領域です。判断が要る仕事のうち「情報を集める」「たたき台を作る」「抜けを点検する」前工程は、判断そのものではありません。ここをAIと仕組みに渡せば判断できる人の手が空き、人数は同じでも一人あたりの守備範囲が広がります。
遅れの代償は、すでに数字に出ている(出典は記事末尾)
採用で埋めきれない状態が続いた代償は、数字に出ています。
- 東京商工リサーチが2026年8月5日に公表した集計では、2026年7月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち「人手不足」関連倒産は63件で7月として過去最多。要因別は「人件費高騰」36件(前年同月比111.7%増、2.1倍)が過去最多、「従業員退職」19件
- 帝国データバンクの分析では、退職が直接・間接的に要因となった「従業員退職型」倒産が2026年1〜7月で83件(負債1,000万円以上・法的整理が集計対象)。前年同期の74件から約12.2%増え、2022年以降5年連続の増加。価格転嫁できず賃上げ原資を確保できないケースが目立つとされています
冒頭の帝国データバンク調査でも、2026年上半期の人手不足倒産は227件で上半期として過去最多でした。「人が採れない」は、もう採用担当だけの悩みではありません。
社長がいま組み直す四つのこと
1. 「欠員を埋める」ではなく「仕事の総量」から決める
欠員が出てから求人を出す会社は後手に回ります。先に決めるのは来期にやり切る仕事の総量。総量を決めて初めて「人でしかできない工程」と「人でなくてもよい工程」が分かれる。後者を先に外し、残った量から必要人数を出す。この順番だと採用の目標人数自体が減ることも珍しくありません。
2. AIのKPIを「速くなった」から「任せられた業務の数」へ
ラクスルが2026年7月23日に公表した「中小企業のAI活用に関する実態調査」第2回(従業員数2〜100名の中小企業の経営者・従業員300名が対象)では、AI活用で生産性・業務効率が向上した層のうち54.9%が「情報収集・文書作成など、日常業務が速くなった」と回答した一方、「特定の業務を任せられるようになった」は4.3%、「業務フロー全体が変わった」は1.9%。積極活用層でも67.7%が「使いこなせていない」と感じています。
「速くなった」は入り口としては正しい。ただ、そこをゴールにすると人手不足には届きません。KPIは「何分短縮したか」ではなく「今月、人の手から離れた業務がいくつ増えたか」に置き換える。
3. 省力化・設備の投資は、制度の日付から逆算する
守備範囲を広げる投資には公的な支援策がありますが、以下はいずれもこの記事の時点では受付前です。
中小企業省力化投資補助金(一般型)は2026年8月18日に第8回公募要領が公開され、9月中旬に申請受付開始、10月中旬に締切、採択発表は2027年2月上旬の予定。補助上限額は従業員5人以下750万円、6〜20人1,500万円、21〜50人3,000万円、51〜100人5,000万円、101人以上8,000万円。補助率は中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、取得だけでも先に進める価値があります。
もう一つ、2026年8月20日に中小企業庁が中小企業成長加速化補助金3次公募の公募要領を公開しました。補助率1/2以内、補助上限額は最大5億円。ただし対象は売上高10億円以上100億円未満の中小企業者で、補助対象経費のうち投資額1億円以上(税抜き)などが要件、さらに「売上高100億円宣言」が必要です。申請受付は2026年9月29日(火)〜10月29日(木)15:00。自社が土俵に乗るかの線引きが先です。
4. 労務は「時間数」だけでなく「措置の実施記録」で見られる
厚生労働省が2026年8月19日に公表した内容によると、2026年9月1日から全国の働き方改革推進支援センターに36協定や特別条項の締結、柔軟な労働時間制度の活用を支援する「専門相談窓口」が設置され、労働基準監督署とのチームによる訪問支援が行われます。あわせて監督署は、時間外・休日労働時間数のみに着目して1か月45時間以内への削減を求める一律の指導を見直し、36協定で定めた健康及び福祉を確保するための措置の実施状況を重点的に確認します。
窓口が開くのは9月1日からで、この記事の時点ではまだ始まっていません。それでも準備はできます。自社の36協定に「健康及び福祉を確保するための措置」として何を書いたかを読み返し、実施の記録が残っているか確かめることです。
Before / After
Before: 欠員が出るたび求人を出し、応募が来ないと嘆く。穴は社長とベテランが埋める。AIは入れたが「文章が速くなった」で止まり、人の手が離れた業務はゼロ。補助金は締切後に知る。
After: 来期の仕事の総量から逆算し、人でなくてもよい工程を先に外している。毎月「人の手から離れた業務」を数える習慣ができ、正社員は判断の仕事に時間を使えている。省力化投資は受付開始日から逆算して準備が進み、36協定の措置も実施記録とセットで残る。
よくある失敗と、避け方
- 「人手不足だから採用を強化する」で終える → 51.3%が示すのは頭数ではなく「任せられる人」の不足です。求人の前に、任せたい仕事を工程に分解してください
- AIの効果を時短の分数だけで測る → 「人の手から完全に離れた業務の数」を月次で数え、ゼロが続くなら任せ方の設計を疑うこと
- 補助金を「見つけてから考える」 → 省力化投資補助金(一般型)第8回は9月中旬受付開始・10月中旬締切の予定。見積もりもGビズIDも、受付開始後では間に合いません
- 規模要件を確認せずに走り出す → 成長加速化補助金の対象は売上高10億円以上100億円未満の中小企業者。投資額1億円以上(税抜き)などの要件と「売上高100億円宣言」も必要です
こんな社長に向いています
- 求人を出しても、任せたいレベルの人が来ない
- 誰か一人辞めると、その仕事が社長に戻ってくる
- AIは触っているが「速くなった」から先に進んだ実感がない
- 人件費の上昇分をどこで吸収するか、絵がない
- 補助金や制度の話を、いつも締切後に知る
ひとつでも当てはまるなら、いま手をつける価値があります。この四半期に決めるか来期に持ち越すかで、来年の人件費と社長の手元時間が変わります。
AI CEOは、この順番の組み替えに伴走します。来期の仕事の総量を一緒に置き、工程に分解し、人に残す判断とAIに渡す前工程を線引きする。そのうえで採用計画、省力化投資と補助金の日程、労務の記録整備を中期計画に一本化し、毎月「人の手から離れた業務」を数えます。
料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。