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賃上げ5%台が3年続いた市場で、人が採れない社長へ|昇給の原資を作る順番

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「うちも上げないと、とは思っているんです」

人が辞める、募集をかけても応募が来ない——そんな会社の社長から、この時期に必ず出てくるのがこの話です。

「世の中が5%上げていると聞けば、うちも上げないとまずいのは分かる。でも、その原資がない」 「去年は無理をして少しだけ上げた。同じことを今年もやったら、今度は会社が持たない」 「上げないと採れない、上げると利益が消える。どちらに転んでも詰んでいる気がする」

これは経営が下手な会社の話ではありません。多くの中小企業で、昇給が「相場を見て決める話」になっていて、「原資をどう作るか」とセットで設計されていない——止めているのは、社長の決断力ではなく、その設計の不在です。

連合の最終集計は5.01%、中小組合は4.69%、パート等は6.18%

知っておいてほしい数字が出ました。連合(日本労働組合総連合会)が2026年7月3日に公表した、2026春季生活闘争の第7回(最終)回答集計結果です(出典は記事末尾)。

7月1日10時時点で、平均賃金方式で回答を引き出した5,368組合の加重平均は、16,400円・5.01%。3年連続で5%台です。昨年の同時期と比べると金額は44円増、率は0.24ポイント減で、高い水準がそのまま定着した形になりました。

社長にとって効いてくるのは、この後の2つの数字です。

  • 組合員300人未満の中小組合3,831組合は、12,866円・4.69%。昨年同時期比で505円増、0.04ポイント増と、中小のほうがむしろ上積みしています
  • 有期・短時間・契約等で働く人の賃上げは時給75.01円、引上げ率(概算)**6.18%**で、一般組合員を上回りました

組合のない会社には無関係に見える数字です。しかし、この水準は採用市場の「相場」として跳ね返ってきます。とくにパート・アルバイトの6.18%は、求人票を並べた瞬間に伝わってしまう種類の差です。自社の昇給率が相場から離れるほど、既存社員の流出と採用単価の上昇という形で、コストは後から請求されます。

上げられないのは、仕入と人手に挟まれているから

では、なぜ上げられないのか。日本銀行が2026年7月1日に公表した6月調査の短観(全国企業短期経済観測調査)に、その構図が出ています(出典は記事末尾)。

中小企業の仕入価格判断DIは76(3月調査比+14)に対して、販売価格判断DIは40(同+9)。仕入の上昇に販売価格が追いついていません。そして雇用人員判断DIは▲39、人手不足は高止まりのままです。業況判断DIは中小企業製造業が9(同+2)と改善したものの、先行きは2へ低下する見通しとされています。

帝国データバンクが7月3日に公表した6月の景気動向調査でも、景気DIは42.6と2カ月連続で改善した一方、大企業46.9に対して中小企業41.8、小規模企業40.0でした(出典は記事末尾)。

つまり、景気の数字は上向いているのに、その分け前が届く前にコストと人手で挟まれている。この状態で「相場だから」と昇給だけ先に決めれば、利益が消えるのは当然です。順番が逆になっているのです。

昇給の原資を作る、3つの順番

まず、自社の昇給率を相場との距離で測る

「うちは何%上げたのか」を、正社員とパート・アルバイトのそれぞれで出してください。ここを即答できない会社が非常に多い。出したうえで、中小組合の4.69%、有期・短時間等の6.18%との差を見ます。その差が何ポイントあるかが、これから発生する採用コストと退職リスクの予告です。感覚ではなく、数字で距離を測るところから始まります。

原資は、経費削減より先に価格転嫁から取りにいく

中小企業庁が2026年6月26日に公表した価格交渉促進月間(2026年3月)のフォローアップ調査では、価格転嫁率は54.2%でした。コスト要素別に見ると、**労務費の転嫁率は50.0%**にとどまります。一方で「価格交渉が行われた」割合は90.7%(出典は記事末尾)。交渉のテーブルには着けているのに、労務費だけが半分しか通っていない、ということです。

賃上げの原資は、社内の経費を削る前に、まずここから取るのが筋です。同調査では、2026年8月上中旬に発注者ごとの評価を記載した「発注者リスト」を公表する予定とされています。交渉の材料は増える方向にあります。

賃金以外の「辞めない理由」を、事務の軽さで作る

昇給だけで人は残りません。残業が減った、雑務が消えたという実感のほうが、数千円の昇給より効く場面があります。

米SHRMの『State of AI in HR 2026』では、人事業務でAIを導入済みの組織は39%、業務別では採用(27%)が最多で、人事テック(21%)、人材育成(17%)と続きます。導入企業の87%が業務効率の改善を報告する一方、組織規模別では特大企業60%・中堅35%に対し小規模33%と、規模が小さいほど導入が遅れています(出典は記事末尾)。人が足りない会社ほど、求人票づくりや応募者対応といった採用まわりの手間を軽くする余地が、そのまま残っているということです。

Before / After

Before: 「世の中は5%らしい」という話だけで昇給を考えている。原資の当てはなく、価格転嫁の交渉は後回し。上げれば利益が消え、上げなければ人が抜ける。毎年その二択を、期末が近づいてから慌てて選んでいる。

After: 自社の昇給率を正社員・パート別に把握し、相場との差を数字で言える。差を埋める原資は、まず労務費の価格転嫁交渉から取りにいく。採用と人事の事務はAIに下ごしらえを任せ、浮いた時間を現場に戻す。昇給が「その場の判断」から「毎年回る仕組み」に変わります。

よくある失敗と、避け方

  • 相場だけを見て、一律で昇給率を決める → 原資の当てと、価格転嫁の交渉予定をセットで決める。裏づけのない昇給は、翌年に反動が来ます
  • 正社員だけを見て、パート・アルバイトの時給を据え置く → 有期・短時間等の引上げ率は6.18%と一般組合員を上回っています。募集の現場で最初に効くのはこちらです
  • 「うちは組合がないから関係ない」と考える → 関係するのは労使交渉ではなく採用市場です。相場は求人票を通じて必ず届きます
  • AIを人減らしの道具として持ち込む → 生成AIを組織で活用する企業のうち53.4%が将来的な人員配置・抑制の見直しを検討しているという調査もありますが、人が採れない会社の使いどころはそこではありません。残っている人の負担を軽くするために使うのが先です

こんな社長に向いています

  • 自社の昇給率が正社員・パート別に何%だったか、すぐに答えられない
  • 昇給の話になると「原資がない」で毎年止まってしまう
  • 求人を出しても応募が来ず、時給や給与の見直しを迫られている
  • 取引先との価格交渉で、労務費の話をまだ切り出せていない
  • 採用や人事の事務作業に、社長自身の時間が取られている

ひとつでも当てはまるなら、来年の昇給を決める前に、順番を組み直す価値があります。

昇給を「毎年迷う判断」から「回る仕組み」へ

社長に求められているのは、相場を当てにいくことではありません。自社の水準を数字で把握し、原資を取りにいく段取りを先に決めるという、経営者にしかできない設計です。

とはいえ、昇給率の算出、相場との差の読み方、価格転嫁の交渉材料づくり、採用と人事の事務をどこから軽くするか——これを本業のかたわらで一人で回すのは、現実的ではありません。株式会社Leachの調査でも、中小企業がAI導入で止まる最大の理由は「何から始めればいいか分からない」が62%で首位でした。そして、月額5万円程度の生成AI顧問から小さく始めた企業のほうが、いきなりシステム開発に着手した企業より定着・成功率が約3倍高かったとされています(出典は記事末尾)。

そこをお手伝いするのが、AI CxOのAI CHRO(人事・組織の責任者)です。賃金水準の点検、昇給と原資をセットにした設計、求人票や応募者対応の下ごしらえ、賃金以外の「辞めない理由」の作り方——御社の数字に合わせて、無理のない順番で一緒に組み立てます。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。人事の担当を一人増やすより、ずっと軽い投資です。「上げるか、耐えるか」の二択を「毎年回る仕組み」に変える——その最初の一歩を、一緒に踏み出しましょう。

参考・出典

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