採用で埋まらない席を、社内から埋める|転職求人倍率2.71倍と、女性管理職で中小が大企業を上回る事実

AI CHRO
人の悩みを一緒に解決する人事のプロ
「求人は出している。それでも人が来ない」
- 「募集を出しても応募が来ない。出し方が悪いのか、条件が悪いのか」
- 「現場を任せられる人がいない。結局、自分が全部見ている」
- 「時給を上げても、上げた分だけ他社も上げてくる」
人が足りないという相談は、ほとんどが採用の話から始まります。媒体を増やす、時給を上げる、紹介会社を使う。どれも間違いではありません。ただ、この夏の数字を並べると別の輪郭が見えてきます。
帝国データバンクが2026年8月17日に公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」では、2026年7月時点で正社員の不足を感じている企業は51.3%。前年同月の50.8%から0.5ポイント上昇し、7月としては4年連続で50%を超えました。同調査では、2026年上半期の人手不足倒産が227件と上半期として過去最多です。
半数の会社が同じ渇きを抱えているなら、外の労働市場で採り合う限り勝ち筋は資本力のある側に寄るということです。止めているのは社長の採用力ではなく、席の埋め方が「外から採る」の一択になっていることです。
求人だけが増え、動いている人は減った(2026年7月の転職市場)
パーソルキャリアが2026年8月20日に配信した「doda転職求人倍率レポート(2026年7月)」によると、2026年7月の転職求人倍率は2.71倍。前月から0.16ポイント、前年同月から0.29ポイント上がりました。内訳では動きの方向が分かれています。
- 求人数は前月比0.9%増、前年同月比では17.2%増
- 転職希望者数は前月比5.0%減(前年同月比では4.8%増)
- 12業種中10業種で前月から求人数が増加。増加率が最も高いのは「エネルギー」で前月比103.8%、次いで「商社」の同102.0%
- 11職種中10職種で増加。最大は「事務・アシスタント」の同105.1%
求人は増え続け、直近ひと月では動いている人が減った。募集を出す側から見れば、同じ人を取り合う相手が一段増えた計算です。反射的に条件を上乗せしたくなりますが、上乗せ合戦は体力勝負です。誰に何を任せる仕事で、入社後1年で何ができるようになるのか。それが書かれていない求人票は、2.71倍の市場では読み飛ばされます。(出典は記事末尾)
女性管理職の割合は、小規模企業のほうが大企業より高い
翌8月21日、帝国データバンクが「女性登用に対する企業の意識調査(2026年)」を公表しました。全国2万2,350社を対象に2026年7月17日から31日にインターネットで実施し、有効回答企業数は1万518社(回答率47.1%)です。
- 女性管理職(課長相当職以上)の平均割合は11.3%。前年の11.1%から0.2ポイント上昇し、過去最高を更新
- ただし「0%(全員男性)」の企業は42.1%と、依然4割超
- 女性役員の平均割合も0.4ポイント増の14.2%で過去最高。一方、女性役員が一人もいない企業は51.5%
- 企業規模別の女性管理職の平均割合は、小規模企業13.9%(前年比0.4ポイント減)、中小企業11.7%(同0.1ポイント増)、大企業8.9%(同0.6ポイント増)
- 今後の増加見通しは、管理職で29.6%、役員で10.8%
目を引くのは規模別です。小規模企業13.9%、中小企業11.7%に対して、大企業は8.9%。規模が小さい会社のほうが女性管理職の割合は高い。人手に余裕がないぶん性別で候補を絞る余裕もなく、任せられる人に任せてきた結果だと読めます。中小企業が先行している珍しい領域です。
ただし前年からの動きは逆で、小規模企業は0.4ポイント減、大企業は0.6ポイント増と差は縮んでいます。回答企業の42.1%では女性管理職が一人もおらず、今後増える見通しと答えた企業も管理職で29.6%。社内の登用余地は、多くの会社でまだ手つかずのまま残っているということです。(出典は記事末尾)
外で競り負ける前に、社内でやれる3つのこと
1. 求人票より先に、「席」の設計図を書く
採用が決まらない会社の求人票は、たいてい「経験者歓迎」「幅広い業務をお任せします」で終わります。書くべきは、この席が引き受ける仕事の範囲、判断してよいことと社長に上げること、入社1年後に一人でできている状態の3点。ここまで書くと、その席が外部採用でなければ埋まらないのか、社内の誰かが半年で届く距離なのかが見えてきます。
2. 昇進の条件を、口頭から文章にする
女性管理職が0%の企業が42.1%という数字は、意図的な排除というより、昇進の条件が言語化されていない会社が多いことの裏返しでもあります。基準が言葉になっていなければ、候補は「前からやっている人」に固定され、勤務時間に制約がある人は候補表に載りません。何ができれば課長相当なのかを1枚にまとめ、全員に配る。それだけで母集団が変わります。
3. 賃金の土台を点検してから、上乗せを考える
募集時給の相場は動いています。マイナビが2026年8月20日に公表した2026年7月度のアルバイト・パート平均時給は、全国1,297円で前年同月から14円増、三大都市圏は1,333円(前月比2円増、前年同月比12円増)。「警備・清掃・ビル管理」1,256円(前年同月比75円増)、「飲食・フード」1,211円(同40円増)、「エステ・理美容」1,192円(同35円増)は、いずれも調査開始以来の最高額を更新しました。集計対象はマイナビバイト掲載求人のうち時給3,001円未満、調査期間は2026年7月1日から31日です。
上乗せの前に、いま払っているものが正しく払えているかも見てください。厚生労働省が2026年8月21日に公表した、令和7年に全国の労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案は22,605件(前年比251件増)、金額128億5,782万円。うち令和7年中に監督署の指導で支払われ解決したのは21,731件(96.1%)です。年2万件超という規模は、これが悪意ある会社だけの話ではないことを示します。残業の切り捨てや手当の計算違いといった運用の粗さが表に出る問題で、給与計算の根拠を一度洗い直すだけで防げます。
Before / After
Before: 欠員が出てから求人を出す。応募が来ないので媒体を増やし、時給を上げる。上げた分は他社も上げるので差は埋まらない。社内では「あの人にはまだ早い」と社長の頭の中だけで候補が絞られ、管理職は何年も同じ顔ぶれ。
After: 席の設計図が先にあり、外から採るのか社内から上げるのかを最初に判断している。昇進の条件は1枚の紙になっていて、誰が何をできれば次の段に進むのかを全員が知っている。求人票には仕事の範囲と1年後の姿が書かれ、給与計算の根拠も点検済み。採用がうまくいかない月があっても、席が空いたまま止まらない。
よくある失敗と、避け方
- 条件だけで勝負しようとする → 2.71倍の市場で条件を上乗せしても、体力のある会社に追い越されます。仕事の中身と1年後の姿を書き切るほうが先です。
- 「うちには候補がいない」と社長が一人で判断する → 回答企業の42.1%で女性管理職はゼロですが、規模別では小規模企業13.9%が大企業8.9%を上回ります。候補がいないのではなく、候補表に載せていないだけかもしれません。
- 相場が落ち着くのを待ってから時給を直す → 7月時点で募集時給がすでに調査開始以来の最高額を更新している職種があります。待っているあいだも、募集は止まりません。
- 昇進の条件を口頭のまま運用する → 候補は固定されたままです。文章にした瞬間、社長が想定していなかった名前が挙がります。
こんな社長に向いています
- 募集を出しても応募が来ず、条件を上げ続けている
- 管理職の顔ぶれが何年も変わっておらず、次の候補が思い浮かばない
- 昇進や評価の基準を、社員に聞かれても口頭でしか説明できない
- 給与計算の根拠(残業の集計方法、手当の計算式)を最後に点検したのがいつか思い出せない
- 人事を考える時間が取れず、いつも欠員が出てから動いている
ひとつでも当てはまるなら、いま手をつける価値があります。人事は効果が出るまで時間がかかるぶん、後回しにするほど高くつきます。
AI CHROができること
AI CHROは、採用と組織の「言語化」を伴走します。席の設計図づくり、求人票の書き直し、昇進・評価基準の文章化、人件費の試算、給与計算の根拠の棚卸し。どれも一度作れば毎年使えるのに、社長一人では着手の時間が取れずに止まっている作業です。
人事領域のAI活用は、まず採用から進んでいます。米SHRMの『State of AI in HR 2026』(調査は2025年12月実施)では、人事業務でAIを導入済みの組織は39%、業務別では採用が27%で最多。組織規模別では特大企業60%・中堅35%・小規模33%と、規模が小さいほど導入は遅れています。裏を返せば、中小企業には先に手をつけた分がそのまま差になります。
料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。