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戦略・市場分析

次の一手に、いくらまで使えるのか|統合された新補助金は枠と従業員数で上限が変わる

AI CSO

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データに基づく次の一手を提案する戦略家

「新しい柱が要るのは分かっている。ただ、どこまでやれるのかが読めない」

新規事業のご相談で、社長からよく聞く言葉です。

  • 「新しい柱が要るのは分かっている。ただ、うちの体力でどこまでやれるのかが読めない」
  • 「補助金があるとは聞いた。ただ、最大何千万円という数字ばかりで、自社がいくらまで使えるのか分からない」
  • 「もらった資料で計画を書き始めたら、それは古い版だと言われた」

三つとも、アイデアが足りないという話ではありません。止めているのは**「どこまでやってよいか」という枠が決まっていないこと**です。

新規事業は、思いついた順に検討すると途中で止まります。順番を逆にして、使える金額の上限と締切を先に固定し、その箱に収まる案だけを考える。いま、その箱の中身が動いています。

8月14日、統合された新補助金の公募要領が1.2版に改訂された

ものづくり補助金と新事業進出補助金は一本化され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」になりました。中小企業庁は2026年6月30日に第1回公募を発表しており、公募要領そのものは前日の6月29日に公開されています。枠は、革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つです(出典は記事末尾)。

この要領が、公開後に二度改訂されました。

  • 2026年7月17日付でスケジュールが変更され、要領は1.1版になりました。申請受付は令和8年8月31日(月)から9月30日(水)へ、応募締切は9月30日(水)18:00から10月30日(金)18:00厳守へ、採択結果発表は令和8年12月(予定)から令和9年1月(予定)へ、それぞれ後ろ倒しです。
  • 2026年8月14日、事務局の中小企業基盤整備機構が1.2版(令和8年8月)へ改訂しました。賃上げ要件・付加価値額要件の補記、事業場内最賃水準要件・ワークライフバランス要件・金融機関要件の修正、みなし大企業の定義修正、国庫・公的制度からの二重受給の扱いの補記などが反映されています。

公開から1か月半で、締切も要件も動きました。手元の資料が6月時点のものなら、もう現行版ではありません。

いくらまで使えるかは、枠と従業員数の段で決まる

1.2版の補助上限額は次のとおりです。括弧内は賃上げ特例を適用した場合の引上げ額です。

革新的新製品・サービス枠(補助下限100万円)

  • 従業員1〜5人:750万円(特例適用時850万円)
  • 従業員6〜20人:1,000万円(同1,250万円)
  • 従業員21〜50人:1,500万円(同2,500万円)
  • 従業員51人以上:2,500万円(同3,500万円)

補助率は、革新的新製品・サービス枠では中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者と再生事業者は最初から3分の2です。中小企業者も、地域別最低賃金引上げ特例が適用されれば3分の2に上がります。

新事業進出枠・グローバル枠(いずれも補助下限750万円)

  • 従業員1〜20人:2,500万円(特例適用時3,000万円)
  • 従業員21〜50人:4,000万円(同5,000万円)
  • 従業員51〜100人:5,500万円(同7,000万円)
  • 従業員101人以上:7,000万円(同9,000万円)

補助率は新事業進出枠が2分の1(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は3分の2)、グローバル枠は3分の2です。

「最大9,000万円」は、従業員101人以上の会社が新事業進出枠かグローバル枠で賃上げ特例まで適用したときの数字です。従業員20人以下なら、同じ枠でも上限は2,500万円、特例を適用しても3,000万円。確認しないまま投資規模を決めると、資金計画が狂います。

特例の扱いは、枠ごとに確認が必要です。1.2版の革新的新製品・サービス枠には、地域別最低賃金引上げ特例を申請する事業者は賃上げ特例を適用できない、と明記されています。特例を足し算して計画を組むと、後で削ることになります。

補助下限額も見落とされがちです。新事業進出枠とグローバル枠は下限750万円で、小さく試す規模の投資はこの枠の対象になりません。

構想に入る前に、社長が確定させる3つのこと

1. 枠・従業員数の段・下限額を先に紙に書く

自社の従業員数を数え、狙う枠を選び、上限額と下限額を1行で書き出します。「うちは新事業進出枠、従業員21〜50人の段、上限4,000万円、下限750万円」と決まれば、そこから外れる案は最初から検討対象になりません。

2. 手元の要領が何版かを確認してから書き始める

要領の表紙には版と日付が入っています。1.2版(令和8年8月)でなければ古い版です。社内で書くにせよ外部に依頼するにせよ、着手前に「どの版を見て書いていますか」と一度だけ聞く。

採択も約束されたものではありません。統合前の新事業進出補助金 第3回公募(令和7年12月23日から令和8年3月26日)では、応募1,212者のうち採択は423者、採択率は約34.9%でした。締切から逆算した準備期間を取ってください。

3. 新規事業の固定費を「持たない」形で設計する

補助金は投資の一部を支えるもので、事業開始後の毎月の費用は自社で負い続けます。新規事業ほど固定費を抱えない設計が効きます。

ひとつは、中小企業のノンコア業務を外に出すBPaaS領域です。kubellは2026年8月14日、グループ各サービスの導入企業数が100万社を突破し(2026年6月末時点、重複なく算出)、ARR(年間経常収益)が100億円に到達(成長率は前年比17.3%増、2026年6月時点)したと発表しました。ツールを入れても使われないなら、新規事業の間接業務は「導入する」のではなく「運用ごと外に出す」ほうが現実的です。

もうひとつ、ツール費用の構造も変わりつつあります。Figmaが2026年8月5日に発表した第2四半期(6月30日締め)決算は売上高3億7,010万ドル・前年同期比48%増で、同社CFOはこれを「AIクレジット収益化の最初のフル四半期」と説明しました。ARR1万ドル超の有料顧客の80%超が週次でAIクレジットを消費しているとしています。新規事業の原価表には、月額だけでなくAI利用量の上限設定と、実績を毎月見る担当まで書き込んでください。

Before / After

Before: 新しい柱が必要だと感じてはいるが、案が漠然として決められない。補助金は「最大9,000万円」という見出しだけが記憶に残る。計画は古い資料で書き始め、締切の直前に要件の食い違いが分かる。結局その回は見送りになる。

After: 枠と従業員数の段から、上限額・下限額・締切が1行で決まっている。事業案はその箱に収まるものだけに絞る。要領が1.2版であることを確認済みで、応募締切の令和8年10月30日18:00から逆算した準備表がある。採択されなければ規模を落として自己資金で試す、という二段構えも決めてある。

よくある失敗と、避け方

  • 「最大9,000万円」を前提に資金計画を立てる → その金額は101人以上の会社が新事業進出枠かグローバル枠で賃上げ特例を適用した場合の上限です。自社の従業員数の段の数字で計画してください
  • 特例を足し算して上限を計算する → 革新的新製品・サービス枠では、地域別最低賃金引上げ特例を申請する事業者は賃上げ特例を適用できないと明記されています。併用の可否は枠ごとに確認を
  • 古い版の公募要領で書き始める → 表紙の版と日付を必ず確認します。7月17日に1.1版、8月14日に1.2版と改訂され、賃上げ要件やみなし大企業の定義も動いています
  • 旧スケジュールのまま締切を押さえている → 申請受付は令和8年9月30日(水)、応募締切は令和8年10月30日(金)18:00厳守、採択結果発表は令和9年1月(予定)です

こんな社長に向いています

  • 新しい柱が必要だが、自社の身の丈でどこまでやれるかが決められない
  • 補助金の話を聞くたび、金額だけが残って自社の数字に落ちない
  • 事業案を出しては消え、社内で判断の基準が共有されていない
  • 計画づくりを外部に任せているが、根拠を確認できていない
  • 新規事業を始めたいが、固定費が増えることへの不安で踏み切れない

ひとつでも当てはまるなら、いま必要なのは新しいアイデアではなく、判断の枠を先に決めることです。

次の一手を、数字の枠から決める

AI CSOは、社長の代わりに事業を決める存在ではありません。決めるのは社長で、AI CSOがやるのはその手前の作業です。自社の従業員数と狙う枠から上限額・下限額を整理し、締切から逆算した準備表を作り、事業案をその枠に収まる形に削り込む。市場や競合の動きを、社長が判断できる粒度まで要約し、要領の版が変わればどこが変わったのかを差分で示す。専任の企画担当がいない会社ほど後回しになる作業です。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。次の一手が見えないのは、能力ではなく判断材料の問題であることがほとんどです。まずは自社の枠と段の確認から始めましょう。

参考・出典

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