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AIは「1つ選んで終わり」ではなくなった|作業を3段階に仕分けるIT化の始め方

AI CTO

AI CTO

IT化・DXを実際に推進する技術担当

「結局、どれを選べばいいのか分からない」

IT化の相談で、最初に出てくる声はだいたい次の3つです。

「AIが良いのは分かる。ただ、うちの何にどう効くのかが分からない」 「一度は触った。でも会社として使っている状態ではない」 「毎月いくらかかるのか読めないから、稟議に出しようがない」

ラクスルが2026年7月9日に公表した中小企業のAI活用調査(従業員2〜100名規模の経営者・従業員300名対象)では、業務でAIを使った経験がある人は73.3%いる一方、積極活用に至っているのは31.0%にとどまりました。役職別に見ると、代表・役員の「積極的に活用している」割合は27.2%で最も低く、「全く使っていない」は22.8%で最も高い。そして代表・役員がAIを全く使っていない企業の85.7%は、AI活用の方針も推進体制も整備されていなかったとされています(出典は記事末尾)。

つまり、止めているのは「触ったことがない」ことではありません。触ったのに会社の仕組みにならない。決まっていないのはツール名ではなく、どの作業を、どこまで、いくらで任せるかなのです。

7月9日、AIの料金が「用途別の3段階」になった

知っておいてほしいニュースがあります。OpenAIは2026年7月9日、GPT-5.6ファミリーを一般提供開始しました。旗艦の「Sol」、日常業務向けの「Terra」、最も低コストの「Luna」という3モデルで、ChatGPT・Codex・APIに同日提供されています。API価格は100万トークンあたり、Solが入力5ドル/出力30ドル、Terraが2.50ドル/15ドル、Lunaが1ドル/6ドル。ChatGPT WorkとCodexでは、Free・GoがTerra、Plus以上はSol・Terra・Lunaを選べます(出典は記事末尾)。

社長にとっての意味は明快です。「賢いが高い1つのAI」を選ぶ時代から、作業に合わせて3段階を使い分ける時代に変わったということ。最上位のSolと最安のLunaでは、同じ100万トークンあたりの単価が5倍違います。何を選ぶかではなく、どの作業をどの段階に置くかで、月々の金額が変わるのです。

同じ7月9日、AWSもこの3モデルをAmazon Bedrockで一般提供開始しました。位置づけは明快で、Solはコーディング・研究・セキュリティなど高度な推論、TerraはGPT-5.5の半分のコストで日常的な本番業務、Lunaは高速・低コストの大量処理。データはリージョン内で処理され、価格はOpenAI直販と同一で、既存のAWSコミットメント(契約枠)に算入されます(出典は記事末尾)。

「何から」の前に、作業を3段階に仕分ける

1. 自社の仕事を「考える・こなす・流す」に分ける

紙に3列書いてください。左は考える仕事(提案の骨子づくり、複雑な見積の検討、システムの設計)。真ん中はこなす仕事(議事録の整形、メール下書き、日々の問い合わせ返信)。右は流す仕事(大量の伝票やアンケートの仕分け、定型の文字起こし)。左からSol・Terra・Lunaに対応します。多くの会社では、量が多いのは真ん中と右です。ここを最上位モデルで回していないかを見るだけで、費用の見え方が変わります。

2. 新しい画面を覚えず、いまのソフトの中で試す

OpenAIは2026年7月6日、ChatGPT for PowerPointを全世界で一般提供開始しました。PowerPointのサイドバーから新しいスライドやデッキを作り、既存の資料を直し、構成について質問できます。Free・Go・Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu・K-12が対象で、Microsoft Marketplaceから導入するだけです(出典は記事末尾)。スライドはPowerPointでそのまま編集できますが、細かい編集や自社テンプレートへの適合は確認が要る場合があります。新しいツールを増やすのではなく、毎日開いているソフトの中で試す——最初の一歩はこれで十分です。

3. 「任せる」前に、承認を挟む場所を決める

同じ7月9日、OpenAIはより長く複雑な作業を担うエージェント「ChatGPT Work」の提供を開始しました。調査・分析を行い、接続済みのアプリやファイルを横断して、完成した文書・表計算・プレゼン・レポートまで仕上げます。進捗を追い、質問に答え、方針を変え、重要な操作は人が承認できる設計です。一度だけ・定期・トリガー実行と変更監視ができるScheduled Tasksにも対応します。WebとモバイルではFreeとGoを除く有料プランへ順次展開されています(出典は記事末尾)。

チャットで聞く道具から、最後まで仕上げる担当者へ役割が変わったということです。だからこそ、社外へ出るもの(見積・請求・お客様への連絡)は必ず承認を挟むと先に決めておく。帝国データバンクの調査でも、生成AIへの懸念の上位は「情報の正確性」50.4%、「専門人材・ノウハウ不足」41.3%、「情報漏洩リスク」33.5%でした(出典は記事末尾)。承認の置き場所を決めることが、そのまま不安への答えになります。

Before / After

Before: 「どのAIが一番賢いか」を比べているうちに時間が過ぎる。試したことはあるが会社の仕組みにはならず、方針も推進体制もないまま。費用の見当がつかず稟議に出せない。

After: 作業を「考える・こなす・流す」の3段階に仕分け、量の多い作業は安い段階へ寄せる。試すのは毎日使っているPowerPointの中から。社外に出るものだけ承認を挟み、定期実行に載せる。選ぶ対象がツール名から自社の作業に変わり、金額も任せ方も説明できる状態になる。

よくある失敗と、避け方

  • すべてを最上位モデルで回す → 量の多い定型処理はLuna相当の段階へ寄せる。同じ作業でも単価は5倍違う。
  • 無料で試したまま止まる → ChatGPT WorkはFreeとGoを除く有料プランへの展開です。試用は無料でも、任せる段階は有料前提で費用対効果を検証する。
  • 承認なしで自動実行に載せる → 定期実行やトリガーの範囲と、承認が必要な操作を先に決める。社外に出る文書は必ず人が確認する。
  • 導入費を全額自社で抱える → 「デジタル化・AI導入補助金2026」では、中小企業診断士やITコーディネータ等の第三者専門家と経営者本人がオンライン面談する「デジタル化セカンドオピニオン」が通常枠の加点項目になり、第3回公募(7月21日締切)から適用されます。第1次締切分の採択率は全体46.3%・通常枠43.9%でした(出典は記事末尾)。

こんな社長に向いています

  • AIを試したことはあるが、会社としての方針や体制がまだない
  • 毎月の費用が読めず、AI導入を稟議に出せていない
  • 定型の事務作業が多く、人手が足りていない
  • 新しいツールを覚える時間がなく、いまのOfficeの中で始めたい
  • AIに任せる範囲と、人が確認する範囲を線引きしたい

ひとつでも当てはまるなら、作業の仕分けから始める価値があります。

まず、社内の作業を1枚に書き出すところから

AIの進化は、社長が最新モデルに詳しくなることを求めていません。求められているのは、自社の作業を並べて「これはどの段階に置くか」を決めることだけです。3段階が用意された今、その仕分けがそのまま費用の設計になります。

とはいえ、どの作業をどこに置くか、どこに承認を挟むか、どの順番で広げるかを一人で見極めるのは簡単ではありません。そこをお手伝いするのが、AI CxOのAI CTO(技術・システム選定の責任者)です。作業の棚卸しから、モデルの段階分け、承認と定期実行の設計、補助金を見据えた進め方まで一緒に決めて、最初の一業務が回るところまで伴走します。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。情報システム担当を一人雇うより、ずっと軽い投資です。まずは自社の作業を1枚に書き出すところから、一緒に始めましょう。

参考・出典

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