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「AIは月いくらかかるのか」が読めない社長へ|業務ごとに安いAIと賢いAIを使い分ける

AI CTO

AI CTO

IT化・DXを実際に推進する技術担当

「AIって、結局うちだといくらかかるんですか」

「導入したい気持ちはある。でも、いくらかかるか分からないものに判子は押せない」

「一度試してはみたんです。便利だとは思ったけれど、それきりで」

「大企業がやっているのは分かる。うちの規模で本当に元が取れるんですか」

この三つは毎回出てきます。共通しているのは、AIを疑っているのではなく、自社の場合の金額と効果が言葉にできないという点です。金額が言えなければ、社内の誰にも説明できません。

止めているのは予算ではなく、費用を数える「型」がないこと

数字を三つ並べます。

株式会社Leachが2026年5月18日に公開した『中小企業AI導入実態調査2026』(従業員300名以下が対象)では、AI導入率は約12%。最大の障壁はコストでも人材でもなく「何から始めればいいか分からない」が62%で首位でした(「コストが見合うか不安」54%、「社内にAI人材がいない」48%)。

情報処理推進機構(IPA)が2026年7月16日公表の「DX動向2026」では、AI導入率は従業員1,001人以上で8割近い一方、101人以下では16.6%。導入企業でも効果は「業務が効率化したり迅速化した」91.6%に集中し、「売上や利益が向上した」は3.9%です。

ラクスルが2026年7月23日に公表した「中小企業のAI活用に関する実態調査」第2回では、積極活用層でも67.7%が「使いこなせていない」と感じ、87.3%が思うような結果が出なかった経験を持つと答えています。「業務フロー全体が変わった」は1.9%です。

つまり、**中小企業のAIは入り口で止まっているか、入っても「速くなった」で止まっている。**原因は予算の大小ではなく、「どの業務を、いくらで、どこまでAIに渡すのか」を数える型が社内にないことです。(各調査の出典は記事末尾)

Googleの「安い方のモデル」が、さらに安く、賢くなった(2026年7月21日)

Googleは2026年7月21日、Gemini 3.6 Flash と 3.5 Flash-Lite をGemini APIで一般提供(GA)にしました。

社長に関係するのはここです。Gemini 3.6 Flashは前世代の3.5 Flashと比べ、出力トークンの使用量を17%削減(DeepSWEでは最大65%)しながら、価格は100万トークンあたり入力1.50ドル・出力7.50ドルと3.5 Flashより低い。性能もDeepSWEで49%対37%、OSWorld-Verifiedで83.0%対78.4%と向上しています。

AIの費用はおおむね処理した文字量に比例しますから、掛け算の両側が下がった形です。**業務自動化に使う「安い方のモデル」が、安いまま賢くなった。**問い合わせ対応の下書きや書類の仕分けのような「量は多いが一件は単純」な仕事を、小さな月額で回す前提が整いました。(出典は記事末尾)

最新のGPTが、いま使っているAWSの中で動くようになった(2026年7月9日)

契約と管理の面で効く話がもう一つあります。AWSは2026年7月9日、OpenAIのGPT-5.6 Sol・Terra・LunaをAmazon Bedrockで一般提供開始しました。

位置づけは、Solが高度な推論、TerraがGPT-5.5の半分のコストで日常的な本番業務、Lunaが高速・低コストの大量処理です。同じGPT-5.6は7月9日にOpenAI自身も一般提供を開始しており、API価格は100万トークンあたりSolが入力5ドル・出力30ドル、Terraが2.50ドル・15ドル、Lunaが1ドル・6ドルと三段階になっています。

Bedrockでの実務上の要点は、データがリージョン内で処理されること、チップレベルで運用者のアクセスをゼロにするハードウェア強制のセキュリティを備えること、価格がOpenAI直販と同一で既存のAWSコミットメントに算入されることです。すでにAWSを使っている会社なら、契約先を増やさずに最新のGPTを組み込める。取引先や監査に「データはどこで処理されているか」を説明しやすくなります。中小企業には、性能よりこの「増やさない」が効きます。

社長がやることは、この三つだけです

1. 「一件いくら」で数えられる業務を、一つだけ選ぶ

先のLeach調査で最初の活用領域として最も多かったのは「書類処理・データ入力」の38%でした。件数と時間が数えられるからです。月に何件あるか、一件に何分かかるか、担当者の時給はいくらか。この三つが言えれば現在のコストが出ます。比較対象がないまま「AIは高い」と言っても、判断のしようがありません。

2. 業務を三つの階層に仕分けて、AIを割り当てる

いま各社が出しているモデルは、はっきり階層に分かれています。GPT-5.6ならSol・Terra・Luna、Geminiなら3.6 Flashと3.5 Flash-Lite。同じGPT-5.6でもSolとLunaは単価が5倍違います。社内の判断も「どのサービスを買うか」ではなく、どの業務にどの階層を当てるかに変わります。

大量に流れる単純作業は最も安い階層へ。日常の書類作成や社内問い合わせは中間へ。契約や設計のように誤ると損害が出るものだけ上位へ。この振り分けを決めておくと、月額は読める数字になります。

3. 契約先を増やさない置き場所を選ぶ

新しいAIサービスを増やすたび、契約・請求・アカウント管理が増えます。中小企業ではこれが積み上がるだけで運用が破綻します。置き場所は「すでに使っているもの」の中から選ぶのが原則です。

マネーフォワードは2026年7月23日、「マネーフォワード クラウド会計」と、ヴェルク株式会社が提供する中小企業向けの見積書・請求書作成、販売管理クラウド「board」とのAPI連携を開始しました。「board」上で請求・支払データのステータスが「請求済」または「請求書受領済」に変わった時点で、売掛金・買掛金の仕訳が自動的にクラウド会計へ流れます。月末の転記作業が、ツールを乗り換えずに消えるわけです。

同日、同社は「マネーフォワード クラウド個別原価」でAIエージェント「工数自動入力エージェント」の提供も一部ユーザー向けに開始しました。AIがGoogleカレンダーの予定を解析して稼働プロジェクトを推測・提案し、担当者は確認するだけで工数入力が終わります。

Before / After

Before: 「AIを入れたい」と言うたび、話が「どのツールがいいか」に流れる。見積もりを取っても月額の根拠が分からず稟議が止まる。試した社員が「便利だった」と言うだけで、会社には何も残らない。

After: 対象業務が一つに絞られ、件数・所要時間・現在のコストが数字で書かれている。その業務には最も安い階層のAIを当て、月額の上限を決めてある。使う場所は既存の会計ソフトとクラウドの中なので、契約は増えていない。三か月後、同じ物差しで二つ目を検討できる。

よくある失敗と、避け方

  • 最初から全社で使わせようとする → 対象を一業務・一部門に絞る。IPAの調査でも効果の実感は「業務の効率化・迅速化」91.6%に集中しています。まずそこを確実に取るのが順路です

  • 上位モデルだけで試して「高い」と結論づける → 業務の難易度と階層を合わせる。単純作業に最上位モデルを当てればコストは合いません

  • 新しいAIサービスを次々契約する → 既存のクラウド・会計ソフトの中で動く選択肢を先に探す。契約と権限管理が増えないことは、中小企業では性能と同じくらい重要です

  • 導入して終わりにする → 費用と削減時間を毎月同じ様式で記録する。ラクスルの調査では積極活用層の87.3%が「思うような結果が出なかった経験」を持ちます。振り返りの型がなければ、次の一手は決まりません

こんな社長に向いています

  • 月額いくらになるのか説明できず、AI導入の決裁が止まっている
  • 一度試したがそれきりになり、社内に何も残らなかった
  • 比較表をいくつも見たが、結局どれを選ぶべきか分からない
  • すでにAWSや会計ソフトを使っており、これ以上契約先を増やしたくない
  • 補助金を使うにしても、申請の前に「何に使うか」が固まっていない

ひとつでも当てはまるなら、足りないのは知識でも予算でもなく、判断の順番と物差しです。

AI CTOがやること

AI CTOは、流行のツールを勧める役割ではありません。業務を棚卸しして「一件いくら」で数え、どの業務にどの階層のAIを当てるかを決め、いま使っているシステムの中に置き場所を作る。そして毎月、費用と削減時間を同じ様式で記録し、次の一業務を選ぶ。この繰り返しを、社長の横で一緒に回します。

先のLeach調査では、月額5万円程度の生成AI顧問から始めた企業は、いきなりシステム開発に着手した企業より定着・成功率が約3倍高いという結果も示されています。大きく作るより、小さく数えて回すほうが速いということです。

料金は月5万円(税別)。まずは試したい方には、お試し月3万円(税別)もご用意しています。

参考・出典

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